2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750039
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
東林 修平 Institute for Molecular Science, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助教 (30338264)
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Keywords | バッキーボウル / 不斉 |
Research Abstract |
独自の合成方法論に基づいてC3対称を有するキラルバッキーボウルの一つ、トリメチルスマネンの不斉合成研究を行い、これまでの方法論では困難であったボウルキラリティを有するキラルバッキーボウルの不斉合成に世界で初めて成功した。ノルボルナジエンから触媒的不斉ヒドロシリル化反応と続く酸化反応によって得られるホモキラルなノルボルナンジオールから、ホモキラルなヨードノルボルネン誘導体を3段階にて合成した。次に独自に開発したパラジウムナノクラスター触媒を用いたsyn選択的な環化三量化によってsyn体のトリスノルボルナベンゼン誘導体の光学活性体を選択的に合成した。続くカルボニル基の変換によって、メチル基を導入した後、開環/閉環オレフィンメタセシス反応によっておわん構造を構築し、低温での酸化的脱水素反応によって、目的のトリメチルスマネンを光学活性体として合成した。合成した光学活性なトリメチルスマネンの不斉は円二色性スペクトル測定によって確認された。以上のように、sp3炭素不斉を有する出発物質からボウル不斉を持つ化合物への不斉転写が、段階的な合成方法論で達成されることを初めて示した。同時にこれまで困難であったスマネン骨格への位置選択的な置換基の導入にも同方法論で成功した。円二色スペクトルの測定から、トリメチルスマネンのボウル反転エネルギーを決定することに成功し、ボウル反転エネルギーの決定に円二色性スペクトル測定が有効であることを示した。
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Research Products
(3 results)