Research Abstract |
本研究では, ビス(シリル)配位子を持つ16電子ルテニウム錯体Aを触媒とした新しいヒドロシリル化反応(ジフェニルアセチレンとジメチルフェニルシランとの反応による芳香環がシリル化された(E)-アルケンの生成)についての研究の発展を目的とし, 下記1および2の成果を得た 1 新しいヒドロシリル化触媒反応の一般性の確認と機構研究 錯体触媒Aを用いた新しいヒドロシリル化について, 複数種類の置換基RおよびR'を持つフェニル基置換アルキンPhC〓CRと第三級シランHSMe_2R'との組み合わせで反応を行ない, 当該反応の基質適用範囲について確認した。まず, アルキル置換基(R'=Et, i-Pr)を有するシランHSiMe_2R'を用いてジフェニルアセチレンとの反応を行なったところ, R'=Phの場合と同様の反応が進行し, その速度はEt>i-Pr>Phの順で遅くなることが明らかとなった。次に, HSMe_2EtとアルキンPhC〓CR(R=Et, Me)との触媒反応を行なったところ, 同様のヒドロシリル化が起こり, 反応速度を比較するとPh>Et>Meの順となることがわかった。 重水素化したシランDSiMe_2Etを用いて同様のジフェニルアセチレンのヒドロシリル化触媒反応を行ない, 生成物((E)-アルケン)の片方のアルケニル水素が選択的に重水素化されることを明らかにし, 触媒反応の機構解明に有用な知見を得た。 2 錯体Aを触媒としたヒドロホウ素化反応 錯体Aを触媒としてフェニル基置換アルキンPhC〓CR(R=Ph, Me, H)とピナコールボランを反応させたところ, アルキンのC〓C三重結合都ヒドロホウ素化され, アルケニルボランが得られた。芳香環がホウ素化されたアルケンの生成は確認されず, 前述のヒドロシリル化と類似の反応は進行しないことがわかった。
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