2008 Fiscal Year Annual Research Report
環状多核金属錯体による孤立した水クラスター「ナノ水滴」の構築と精密機能化
Project/Area Number |
20750043
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田代 省平 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (80420230)
|
Keywords | 水クラスター / 金属錯体 / 分子認識 / ナノ科学 / 自己集合 |
Research Abstract |
水のクラスターは、DNAやタンパク質などの生体高分子界面に存在することで重要な生体機能を担っているだけでなく、水分子がクラスター化することによって特異な物性を示すことがよく知られており、興味深い研究対象として近年盛んに研究が行われている。そこで本研究では、新規にデザインした大環状多核金属錯体の内側に金属配位水を精密配列化し、それらを基点として内孔に水分子を集積することにより、疎水環境内で孤立した水クラスター「ナノ水滴」を創製することを目的とした。また様々な分子・イオンを基点として用いることにより、水以外の分子・イオンがディスクリートに集積化した新規クラスター構造の精密合成を目指した。クラスター化の最も基本的なプラットフォームとして、様々な形状・特性を有する数種類の大環状多座配位子を合成した。得られた配位子と様々な金属イオンを錯体形成させることで、同種・異種金属イオンからなる多様なホモ・ヘテロ多核金属錯体群を高効率・高選択的に構築することに成功した。得られた多核金属錯体は、環内に配列した金属イオンを基点として、様々な陰イオンを環内孔に集積することができた。さらに、環内に集積化した陰イオンによって、その内部にさらに陽イオンを包接することに成功した。すなわち今回合成した大環状多核金属錯体では、環内の金属イオンを基点として陽イオン・陰イオンを高精度にクラスター化することにより、疎水溶媒中にて特異な高極性ナノ空間を創出することを達成した。
|