2008 Fiscal Year Annual Research Report
シクロメタル化した白金錯体の電気化学的酸化による高活性反応場の構築
Project/Area Number |
20750045
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小泉 武昭 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 准教授 (60322674)
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Keywords | 白金錯体 / ルテニウム錯体 / 有機金属錯体 / 電気化学 / 多段階酸化還元 / 結晶構造 |
Research Abstract |
本研究では、Pt(11)錯体の合成を行い、二電子酸化によるd^b錯体への変換を電気化学的に行うことで、平面四配位構造から八面体構造への構造変化が起こることを電気化学的測定、生成物の構造解析などを用いて確認し、生成が期待される配位不飽和な高原子価中間体の反応性について、有機基質を用いて検討することを目的とする。本研究の目的を達成するためには、多電子移動ができる錯体の構築が不可欠であることから、平成20年度は、種々の酸化還元活性な配位子を有する錯体の構築、およびその電気化学的性質の解明を行った。比較として、Pt錯体の合成に用いたものと同じ配位子を出発原料としたRu錯体の合成を平行して行い、構造・電気化学的性質の相違を明らかにした。配位子としては、ο-フェニレンジアミンやチオアミド等を用いた。PtCl2(cod)およびRuCl2(bpy)2に対し、ο-フェニレンジアミン誘導体を塩基存在下で反応させたところ、1, 2-ベンゼンジアミドが配位したpt(11)錯体、および配位子が酸化され、ベンゾキノンジイミン型で配位したRu(11)錯体がそれぞれ得られた。これらの生成物の相違は、金属の酸化還元電位が関与しているものと考えられる。合成した白金錯体の電気化学的性質をサイクリックボルタンメトリーを用いて測定した結果、酸化側に二段階の擬可逆な酸化還元波を示した。この結果より、1, 2-ベンゼンジアミドを配位させることにより、白金錯体において、二電子酸化を行うことができる、すなわち金属の酸化還元のみでは難しい多電子移動を配位子の酸化還元能を利用することによって達成できることを明らかにした。さらに、電気化学反応と分光学的手法を組み合わせることにより、錯体の電子状態について詳細な検討を行った。以上の結果より、1, 2-ベンゼンジアミド配位子が目的を達成する上で有用であることが明らかになったので、平成21年度は、二電子酸化体の単離・構造解析を行うとともに、シクロメタル化配位子を有する白金錯体に対して1, 2-ベンゼンジアミドが配位した化合物の合成を行い、電気化学的性質・挙動および高原子価錯体の反応性について検討する。
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