2009 Fiscal Year Annual Research Report
シクロメタル化した白金錯体の電気化学的酸化による高活性反応場の構築
Project/Area Number |
20750045
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小泉 武昭 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 准教授 (60322674)
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Keywords | 白金錯体 / ルテニウム錯体 / 有機金属錯体 / 電気化学 / 多段階酸化還元 / シクロメタル化配位子 / 結晶構造 / ノン-イノセント配位子 |
Research Abstract |
本研究は、多段階の酸化還元能を有する配位子を持つPt(II)錯体を合成し、電気化学的二電子酸化によりd^6錯体へと変換することで、高活性反応場を構築することを目的としたものである。平成21年度は、より低い酸化電位を有するPt-bda錯体の構築を目指し、シクロメタル化配位子を導入したPt錯体の合成を行い、電気化学的性質・挙動について検討した。(Bu_4N)[PtCl_2(bqn)」(bqn:ベンソ[h]キノリン)とo-フェニレンジアミン(pda)から[Pt(bqn)(pda)](PF_6)(1)を合成した。次に、1に塩基を添加し、DMF中でサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。その結果、可逆な二段階の酸化還元波が観測され、脱プロトシ化によるPt-pda錯体からPt-bda錯体への変換が確認された。自然電位の準位は、脱プロトン化した錯体の構造がPt-bda型であることを示した。酸化還元電位は前年度に合成したcodを有する錯体と比べ約1V程度負側に観測され、bqn配位子からの強い電子供与が認められた。bda配位子を1個のみ有する錯体の電気化学的性質を明らかにした例は本研究が初めてであり、bda配位子の二電子酸化能を利用した反応の開発をする上で重要な知見が得られたものと考えられる。次に、電気化学的酸化による錯体の構造変化の観測のため、配位性の強いMeCNを溶媒に用いてCV測定を行った。その結果、DMF中では見られなかった酸化波が約+1Vに現れた。これは、MeCNがPtに対して配位可能であり、Ptが六配位構造をとりやすくなる環境が形成されるため、Pt(II)からPt(IV)への変換が起こったものと考えられる。現在はこの生成物の単離および構造解析について検討を行っている。本検討により、六配位八面型のPt錯体が電気化学的酸化により生成したことが明らかになれば、電気化学的に高活性反応場を構築可能であることの証明となり、錯体触媒を用いた新規な電解反応の開発へと繋げることができる。
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