2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 直顕 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 助教 (70346047)
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Keywords | オゾン / 異常高原子価 / メスバウア効果 |
Research Abstract |
本年度に実施してきたオゾン酸化用の反応炉の改良とオゾン発生器やガス流路の配置の見直しにより、従来2万気圧以上の酸素圧が必要なCaFeO2.5→CaFeO3の反応を微量ならば、ほぼ完全に行うことができるようになった。反応後の試料のX線回折測定やメスバウア分光測定により、酸化反応が進行し未反応のCaFe02.5がほとんど残っていないことが確認された。これまでKC104やCr03などの酸化剤を試料に混ぜて数GPa以上の固体圧を印加しながら加熱する方法でのみ得ることのできたCaFeO3の合成が、オゾンにより可能であることを示したことは、従来の酸化法(高酸素圧のほか、化学的酸化法(NaClOやKMnO4など酸化試薬による酸化)や電気化学的手法)に比べて、オゾンがそれらを上回る強力な酸化力をもっていることを意味している。オゾンの酸化力は熱力学的計算では、室温で10の18乗気圧に相当するとされていることから、今まで得られていないような新規な異常高原子価酸化物(すなわちより高酸素圧下でのみ安定な物質)の合成が期待できる。また、高圧の必要のない1気圧下で酸化が行えたことは、工業的応用面でも有利である。現在、反応させられる試料量は微量にとどまるが、更なる装置の改良によりスケールアップが容易に達成できる余地があり、基礎科学から応用まで研究の拡大が期待される。
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