2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 直顕 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 助教 (70346047)
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Keywords | オゾン / 鉄ペロブスカイト / メスバウア効果 |
Research Abstract |
反応装置の改良や反応条件の最適化に成功し、本来は反応しにくいオゾンによる酸化反応を安定的に進ませることができるようになった。そこで種々の酸化物の合成を試みた。その結果、いくつかの新物質を得ることに成功した。ABO_3で表されるペロブスカイト型酸化物は、BO_6八面体が三次元的に頂点共有連結した結晶構造をしているが、Aサイトイオンの半径が大きくなると、頂点共有と面共有連結の混ざった六方晶型が安定相となることが知られている。今まで6H型、12H型と呼ばれる酸化物が知られていたが知られていたが、単純ペロブスカイト型である立方晶型BaFeO_3を初めて合成に成功した。この物質は、酸素欠損のない異常高原子価Fe^<4+>イオンを含む新物質であり、同構造のSrFeO_3に比べて約9%格子体積が大きいために、Fe-0間の距離が著しく引き伸ばされている。メスバウア効果のアイソマーシフト値も大きいことから、Fe-0間の共有結合性が大幅に低下していることを示唆している。また磁化測定では120K以下で磁気転移挙動が見られ、複雑な磁気構造を持っていることが示唆された。また低温では鉄はCaFeO_3で見られるような電荷不均化(Fe^<4+>→Fe^<3+>+Fe^<5+>)を引き起こさず、4価の状態を保つことが分かった。同様の方法でSr_<1-x>Ba_xFeO_3固溶体も合成し、Ba置換量の増加に従って格子定数も直線的に大きくなる傾向が見られた。
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