2008 Fiscal Year Annual Research Report
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20750048
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
有川 康弘 Nagasaki University, 生産科学研究科, 助教 (30346936)
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Keywords | 一酸化窒素 / N-Nカップリング / NO還元サイクル / 酸素架橋 / ジニトロシル / 二核錯体 / ピラゾリルボレート / ルテニウム |
Research Abstract |
本研究は、ルテニウム錯体上での配位NO分子の動的挙動に着目し、特異な結合を誘起する反応について研究する。今年度は、大別して、以下の2つの反応について研究を行った。 1、二核錯体のプロトン酸との反応(N_2O分子の脱離) 特異なN-N結合を有する二核錯体とプロトン酸との反応を行った。その結果、プロトン酸としてHBF_4を用いた場合、ジニトロシル二核錯体とともに酸素架橋二核錯体が単離された。他のルイス酸をいくつか試みたが、うまく反応は進行しなかった。また、この反応は溶媒の選択が重要であり、CH_2Cl_2を使用した場合、最も収率よく酸素架橋二核錯体が得られた。特筆すべきは、この反応においてN_2O分子が脱離していることである(ガスクロマトグラフィーにより検出)。このN_2O分子の脱離は、まさしく一酸化窒素還元酵素のNO還元サイクルで生成する分子であり、酵素の機能を再現したことになる。 2、NO還元サイクルの達成(脱水反応およびNOとの反応) 得られた酸素架橋二核錯体に対してHBF_4を用いて反応させたところ、OH架橋錯体がほぼ定量的に得られた。さらに、このOH架橋錯体とHBF_4を反応させたところ、単離することはできなかったが、OH_2, 架橋錯体が系中に発生していることが分った。そこで、系中に発生させたOH_2島架橋錯体を直接NOガスと反応させることで、ジニトロシル二核錯体を単離することに成功した。 これらによりNO還元サイクルが達成された。
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