2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20750048
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
有川 康弘 Nagasaki University, 生産科学研究科, 助教 (30346936)
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Keywords | 一酸化窒素 / N-Nカップリング / NO還元サイクル / 酸素架橋 / ピラゾラト架橋 / 二核錯体 / ピラゾリルボラト / ルテニウム |
Research Abstract |
本研究は、ルテニウム錯体上での配位NO分子の動的挙動に着目し、特異な結合を誘起する反応について研究する。今年度は、大別して、以下の2つの反応について研究を行った。 1、 架橋配位子の効果に関する研究 特異な結合を誘起する二核反応場として、架橋配位子の効果は電子的および立体的に重要であることが考えられる。そこで、2つの酢酸イオンが架橋した酸素架橋二核錯体がすでに報告されているため、これを元にビス(ピラゾラト)架橋二核錯体の合成を行った。X線構造解析によりその構造を同定しており、Ru-Ru間距離はこれまでの錯体に比べて、長くなっていることがわかった。この結果により、これまで架橋配位子としてクロライドとピラゾラトの組み合わせの錯体しか研究できなかったが、いろいろな架橋配位子の錯体についても調査することができる。 2、 小分子の活性化について 我々が達成したNO還元サイクルを参考に、酸素架橋二核錯体に対して2当量のHBF_4と反応させて、OH_2架橋錯体を系中に発生させた。その後、亜鉛存在下で一酸化炭素ガスと反応させたところ、ジカルボニル二核錯体が単離された。IRスペクトルにより、末端カルボニルに帰属されるバンドが観測され、またX線構造解析によりその構造を同定した。これにより、二核ルテニウム錯体の近接した位置に2つの小分子を配置させることができ、さらに、この合成法を用いることにより、他の小分子を導入することも可能である。
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