2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉄触媒を用いる3級シランの脱水素カップリングと中間錯体の反応性
Project/Area Number |
20750049
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
板崎 真澄 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 講師 (60382032)
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Keywords | 鉄錯体 / ヒドロシラン / 光反応 / ガップリング反応 / 置換反応 / ジメチルホルムアミド |
Research Abstract |
鉄メチル錯体Cp(CO)_2FeMeを触媒として3級シランの光反応をジメチルホルムアミド中で詳細に検討したところ、R_3Si-O-SiR_3結合を持つジシロキサンが生成していることがわかった。ジシロキサンのようなシロキサン化合物は、熱的に安定であり、毒性も低いことからシリコンオイル、シリコンゴム、化粧品などの様々な工業製品に使用されているため、安価な鉄錯体を触媒とした本反応は、非常に価値の高いものであるといえる。反応機構の検討の結果から、ジシロキサン中の酸素は、ジメチルホルムアミド由来であると考えられる。また、反応中間体は鉄メチル錯体と3級シランの反応から、鉄上に2つのシリル基を持つ錯体であることも明らかにしている。 そこで、これまでにほとんど合成例がない鉄上に異なった14族元素配位子を2つ持つ錯体Cp(CO)FeH(EEt_3)(E'Et_3)(E,E'=Si,Ge,Sn)を種々合成し、HEEt_3(E=Si,Ge,Sn)との反応性を調べることにした。その結果、鉄上の14族配位子として、Si≫Ge>Snの順で置換反応が進行しやすいことがわかった。鉄上に2つのSnEt_3基を配位子とする錯体の場合では、他の14族元素配位子に置換することはできなかった。また、異なった2つの14族元素配位子を持つ鉄錯体をジメチルホルムアミド中で光反応を行っても、対応するカップリング体は生成しなかった。
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