2008 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性金属錯体空隙でのナノサイズ磁石構築と磁性制御
Project/Area Number |
20750051
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
加知 千裕 Toho University, 理学部, 講師 (80453851)
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Keywords | 金属錯体 / 分子磁性体 / 包接体 / ホストーゲスト相互作用 / 単分子磁石 |
Research Abstract |
ホストーゲスト相互作用を利用したナノサイズ磁石(単分子磁石)の磁気的性質の変化を目指して、平成20年度はその合成方法の検討を行った。ホフマン型配位金属錯体、オキサラト架橋金属錯体などいくつかの多孔性金属錯体(ホスト)と、Mh3核またはMn4核クラスター単分子磁石(ゲスト)を化合物候補とした。合成方法は、ホスト原料(2種)とゲスト分子を混合した多成分の反応で、ホスト構築時にゲストを取り込ませる方法を検討した。これまでの合成から、2種の原料同士のみの反応やゲスト単分子磁石の分解反応、カウンターイオンや配位子の交換反応が起きる現象が多く見られ、配位不活性なゲスト単分子磁石を選択する必要があるとの知見が得られた。また、原料分子のカウンターイオン交換反応が起こりやすいことを利用して、3種の原料を2種ずつ反応させるなど段階的に合成し、各段階で不必要なカウンターイオンを除く合成を検討した。ホストの原料分子として(NBu_4)_2[Cu(opba)]錯体と、ゲスト単分子磁石[Mn_3O(O_2CMe)_3(mpko)_3](ClO_4)・3CH_2Cl_2を混合することによって、ホストーゲスト分子複合体[Mn_3O(O_2CMe)_2(mpko)_3][Cu(opba)]を得ることに成功した。当該年度では、この化合物の単結晶X線構造解析、蛍光X線分析などにより化合物同定を行った。この複合体中のCu錯体部分は配位能を有しているため、金属イオンを新たに取り込むことによって、ゲスト分子を伴ったまま多次元体の構築ができる。現在、この集積化を進行している。
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