Research Abstract |
我々の研究グループでは,理化学研究所加速器研究施設リニアック棟に既設の気体充填型反跳核分離装置(GARIS)を利用し,物理的に前段分離された超重元素の気相化学的性質を調べることを計画している.今年度は,GARIS直結型ガスジェット搬送システムを用いて,それぞれ^<248>Cm(^<18>O, 5n)^<261>Rfならびに^<1248>Cm(^<22>Ne, 5n)^<265>Sg反応によって生成する超重元素核種^<261>Rf(原子番号Z=104)と^<265>Sg(Zニ106)を製造した.GARISによって質量分離した超重核を化学実験室にガスジェット搬送し,回転式アルファ線連続測定装置を用いて計測したところ,^<261>Rfと^<265>Sgを極低バックグラウンド下で検出することに成功した.^<261>Rfについては,既知の^<261>Rf(半減期68s)に加えて,核異性体^<261>Rf_b(半減期2s)の直接合成に成功し,その半減期,α線エネルギーやα/自発核分裂分岐比などの新しい核データを取得した.^<265>Sgは,未だにその壊変様式がよく分かっていない核種であったが,本研究によって,新たに29個の壊変鎖を観測することができ,^<265>Sgの壊変様式の解明に大きく貢献できた、また,本研究では,GARISにガスクロマトグラフ化学分析装置を結合し,超重元素の気相化学的性質を調べるための元素分析システムを開発した.今後,理研重イオンリニアックとGARIS直結型ガスクロマトグラフ分離装置を駆使し,超重元素のカラム固定相に対する吸着エンタルピーを測定する計画である.
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