2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小液滴の電磁泳動挙動の解明と二相流マイクロリアクタへの応用
Project/Area Number |
20750059
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯國 良規 Nagoya Institute of Technology, 工学(系)研究科, 助教 (60452215)
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Keywords | 反応・分離工学 |
Research Abstract |
近年、生命科学・環境科学における分析手法として、Lab-on-a-chip、μ-TASに代表されるようなマイクロチャンネルなどの比表面積が大きい微小空間を用いる分離・精製・抽出・反応は重要な技術の一つとなっており、より比表面積の大きい液滴を用いるマイクロリアクタの研究も広く行われている。このような液滴を用いたマイクロリアクタにおける反応制御および液滴の捕捉や移送するマニピュレーションやパターニングが可能な外場を利用する泳動法は有効な技術である。本研究では、磁場と電流を外場として用いる電磁泳動を利用する、新規なマイクロリアクタにおける反応制御および検出法の開発を目的とし、その基礎検討として水中に分散させた有機液滴の電磁泳動速度の支配因子の解明を行った。 1対のNd-Fe-B磁石を1mmの間隔で設置し作製した1Tの磁場中で、1 M KCl溶液中に分散させた7-15mmの直径の2-フルオロトルエン液滴の電磁泳動速度を測定した。実測した2-フルオロトルエンの電磁泳動速度は印加電流値に比例し、印加電流80μAにおける直径8μmの液滴の泳動速度は5.0μm s^<-1>であった。また、それから求められた2-フルオロトルエン液滴の見かけの電気伝導度は0.027 S cm^<-1>であった。さらに、カチオン性界面活性剤である臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)を10^<-4>-10^<-6>Mの濃度で添加してときの電磁泳動速度を測定し、その見かけの電気伝導度を求めると、添加したCTAB濃度が大きいほど見かけの電気伝導度は大きくなり、濃度が小さくなるほど未添加のときの値に漸近する傾向がみられた。これは液滴界面にCTABが吸着することで液滴の表面電位が変化し、液滴の電気二重層に起因する表面電気伝導度が変化したためと考えられる。この結果から、電磁泳動速度から液滴界面吸着分子の吸着量の測定が可能であることが示唆され、本手法は新規な液滴を用いた液液界面反応における界面吸着分子量の測定法として期待できる。
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