2008 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ微粒子に基づくチップ電気泳動-レーザースプレーイオン化質量分析検出法の開発
Project/Area Number |
20750060
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 文彦 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (20362452)
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Keywords | マイクロチップ電気泳動 / 質量分析 / 金ナノ微粒子 |
Research Abstract |
金ナノ微粒子に基づくチップ電気泳動ーレーザースプレーイオン化質量分析検出法の開発にあたり, シクロオレフィンポリマー(COP)製チップのマイクロチップ電気泳動(MCE)-質量分析(MS)への適用および金ナノ微粒子の光熱変換現象を利用した電気泳動分析について検討を行った。 COPマイクロチップの端面にイオン化ナノスプレーを直接加工した電気泳動分析用チップを作製した。マイクロチップの分離部のチャネルは幅50μmとなっており, ESIナノスプレー部は先端でのチャネル幅が10μmとなるようなテーパー型の構造とした。このチップ先端にESI電圧を印加しながら, 送液を行ったところ, スプレーチップの先端角が60°のときには, テイラーコーンの形成は確認されたものの, 断続的なスプレーとなった。そこで, より鋭角なスプレーチップ(先端角30°)を作製したところ, 連続的なスプレーの発生に成功した。この先端角30°のマイクロチップにおいて薬物成分やアミノ酸のMCE分離・MS検出を行ったところ, ベースライン分離を達成した。 一方, レーザースプレーイオン化において重要となる金ナノ微粒子の光熱変換現象の電気泳動分析への適用についても検討を行った。金ナノ微粒子は表面プラズモンに由来する吸収を可視域に示し, 無輻射失活過程において熱を放出する。この放熱を擬似吸光検出器である熱レンズ顕微鏡によりモニターしたところ, 非常に強いシグナルが得られ, 金ナノ微粒子を含む試料溶液を高感度に検出することに成功した。この現象をレーザースプレーイオン化に応用することで, 高感度なMS検出を実現できると期待される。
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