2009 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ微粒子に基づくチップ電気泳動-レーザースプレーイオン化質量分析検出法の開発
Project/Area Number |
20750060
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 文彦 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (20362452)
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Keywords | マイクロチップ電気泳動 / 質量分析 / 金ナノ微粒子 |
Research Abstract |
前年度に開発したナノスプレーを直接加工したマイクロチップ電気泳動(MCE)分析用シクロオレフィンポリマー製チップを用いて,金ナノ微粒子に基づくレーザースプレーイオン化(LSI)質量分析(MS)検出について検討した。試料として,カフェインまたはイブプロフェンを溶解したグリシンークエン酸塩緩衝液に金ナノ微粒子を100pMになるように分散したものを用い,インフユージョンモードでMS検出器へ導入した。ナノスプレーがMSオリフィスに対して,90°となるように配置し,ナノスプレー先端にレーザー(532nm)を照射した際のカフェインの信号強度について検討したところ,ピコ秒パルスレーザー(1~10μW)を照射した際には,ベースラインが不安定となった。また,レーザーを照射し続けたところ,金ナノ微粒子の凝集体がスプレー先端に生成し,流路を閉塞したため,パルスレーザーは有効ではなかった。一方,CWレーザー(1~10mW)を照射したところ,カフェイン(正イオンモード)の検出感度に有意な差はなかったのに対し,イブプロフェン(負イオンモード)では信号強度が12倍に増加した。したがって,金ナノ微粒子を用いるLSIにおいては,負イオンモードで感度増幅効果があることが示唆された。 MCE-LSI-MSのさらなる高感度化を目指し,タンパク質をマイクロヒーター上で濃縮してから,LSI-MS検出するためのチップデバイスの試作を行った。ポリジメチルシロキサン基板にチャネルを形成し,幅1mmの銀薄膜を埋め込んでヒーターとした。タンパク質の変性剤を含む泳動液を満たしたチャネルにBSAを注入したところ,ヒーター上でBSAは濃縮され,検出感度が5倍以上に向上した。ナノスプレーを接合したチップとの組み合わせにより,高感度なMCE-LSI-MSが期待できる。
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