2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラズモン励起赤外蛍光法による高感度免疫計測のための蛍光プローブの探索
Project/Area Number |
20750061
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝口 裕実 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (30446736)
|
Keywords | 表面プラズモン / フラーレン・ナノチューブ / 分析科学 |
Research Abstract |
近赤外領域の光源により表面プラズモンを誘起させると、可視光領域と比べて電場増強度は数倍大きく、これを表面プラズモン励起蛍光分光法(SPFS : surface plasmon field-enhanced fluorescence spectroscopy)に適用させ、より高感度な計測システムを構築することが本研究の目的である。当該年度においては、可視光領域を計測対象としたSPFS装置を近赤外領域の計測へと改良及び測定条件の最適化を行い、抗原抗体反応の計測により評価を行うことに注力した。具体的には励起光源には発振波長が670nmの半導体レーザーを用い、光子計数が可能なアバランシェフォトダイオード(APD)を蛍光検出器に用いた計測システムを完成させた。毒らに、金薄膜上に自己組織化単分子膜(SAM)を介して作成した抗体固定化表面における抗原抗体反応を近赤外SPFS法により測定を行った。ビオチンSAMによる抗体固定化と、蛍光色素に発光波長750nmの有機蛍光色素を用い、血中の肝がんマーカーであるアルファフェトプロテイン(AFP)の計測を行ったところ、従来のSPFS法と比較して概ね1/10程度の励起光出力で励起が可能であることがわかった。また、SIN比の向上により数倍程度検出感度が向上していることが確認できた。しかし、有機蛍光色素は強い電場における励起による蛍光退色が観察され、本法における蛍光プローブとしては最適ではない。今後は、近赤外SPFSにおける最適な蛍光プローブを決定することが課題であり、単層カーボンナノチューブ(SWNT)や微粒子等を用いた計測系の構築を行う。
|