2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜動態を解析するための新規機能性マイクロ電極の開発
Project/Area Number |
20750068
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平野 悠 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ゲノムファクトリー研究部門, 研究員 (70415735)
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 / 電気化学 / SECM / バイオ関連機器 |
Research Abstract |
SECMはマイクロ電極をプローブとし, 試料表面に接近させて2次元的に走査することによって表面の局所領域における電気化学反応を検出・誘起することが可能なシステムである. SECM測定において、親水性電子メディエータを利用すると一細胞を対象に細胞の状態(大きさや膜の透過性)を観察することが可能となる。しかしながら、観測される電流値はプローブ電極・試料間の距離に依存するため、長時間の測定は振動や温度変化が原因となり困難であった。そこで、本研究では、低温下の細胞の状態を連続測定するために、温度制御化で長時間連続測定可能なSECMシステムの開発を行った。また、細胞の状態を詳細に解析するために、酵素を用いたマイクロ電極の機能化を検討した。 1. 温度制御下で細胞を連続観察可能なSECMの開発 プローブであるマイクロ電極の走査方法を複数組み合わせることで、測定系を安定させた独自の制御技術を構築し、さらに、温度性制御機構を導入した新しいSECMを開発した。このSECMを用いることで、24時間以上連続して低温下の細胞を観察可能になった。低温化(4℃)に置いた細胞は一定の状態を保った後、急激に膨潤して破裂する様子が観察され、低温ストレスが細胞に与える影響を評価することができた。本システムを用いることで、細胞保存液の開発などへの応用が期待できる。 2. 高機能マイクロ電極の開発 細胞から放出される乳酸脱水素酵素(LDH)の活性を測定することで、細胞が受けた障害を測定することができる。LDH活性を測定可能なマイクロ電極を開発するために、今年度は、酵素系の検討を行い、LDH活性の電気化学的な測定を実現した。
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