2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜動態を解析するための新規機能性マイクロ電極の開発
Project/Area Number |
20750068
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
平野 悠 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ゲノムファクトリー研究部門, 研究員 (70415735)
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Keywords | 電気化学 / 走査型電気化学顕微鏡 / SECM / 一細胞分析 / 走査型プローブ顕微鏡 / マイクロ電極 |
Research Abstract |
SECMはマイクロ電極をプローブとし,走査することによって局所領域における電気化学反応を検出・誘起することが可能なシステムである。他のプローブ顕微鏡と異なり対象とプローブの距離が1μm以上離れていても観察できるため、細胞などの生体試料を対象とした応用が期待されている。しかしながら、観測される電流値はプローブ電極-試料間の距離に依存するため、振動や温度変化が原因となり長時間の測定は困難であった。そこで、本研究では、一細胞を長時間、連続観察可能なSECMシステムの開発を行った。開発したシステムを用いて、培養条件下および低温下において一細胞を長時間連続観察した。 1. 温度制御下で細胞を連続観察可能なSECMの開発:プローブであるマイクロ電極の走査方法を複数組み合わせることで、測定系を安定させた独自の制御技術を構築し、さらに、温度性制御機構を導入した新しいSECMを開発した。本システムでは、一細胞を対象に3分間隔で24時間以上の連続した観察が可能となり、この時、イメージングだけではなく細胞高さの経時変化を50nm以下の解像度で測定できた。このSECMを用いることで、細胞分裂の様子や、薬物により刺激を受けた細胞の形状変化などが観察できた。 2. 低温保存された細胞が受けるダメージの評価:開発したシステムを用いて、低温下(4℃)の細胞を観察したところ、一定の状態を保った後、急激に膨潤して破裂する様子が観察され、低温ストレスが細胞に与える影響を評価することができた。また、低温において細胞保護効果を有する物質を保存液に添加した結果、保護効果を解析することができた。
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