2008 Fiscal Year Annual Research Report
C-HおよびSi-H結合切断から起動する新規分子変換反応
Project/Area Number |
20750073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 淳一 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (20402480)
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Keywords | 有機金属 / C-H結合活性化 / 不斉触媒 / ルテニウム / イリジウム / 酸化的付加 |
Research Abstract |
本年度は新規配位子の合成、金属錯体による素反応の解析、新規ルテニウム錯体の合成とその不斉触媒反応について実施した。具体的には、窒素系三座配位子を有する光学活性ルテニウム錯体がC-H結合切断反応によって簡便に合成できることを見出した。そのルテニウム触媒が単純ケトン類の不斉水素化反応に活性を示し、基質依存性があるものの立体的に込み入ったケトンに対して高いエナンチオ選択性を示すことを明らかにした。このルテニウム触媒は有機合成上有用な不斉シクロプロパン化反応に対しても高い触媒活性を示した。例えば、ジアゾ酢酸エステルとスチレンとのシクロプロパン化ではほぼ完全な立体化学の制御を行いながら、高トランス選択的に触媒反応が進行することを見出した。また、素反応の解析についても詳しく検討し、ロジウム錯体によるクロロベンゼン類の酸化的付加反応がアミンによって促進されることを明らかにした。この結果は安定なクロロベンゼンを用いるクロスカップリング反応などに有用な知見を与えるものと考えている。また、C-H結合の活性化に関連して、イリジウム錯体とベンゼンとの反応について検討した。加熱条件が必要であるもののイリジウム上にフェニル基を有する金属錯体が高収率で得られることを見出した。さらに、より化学的に安定なアルカンの活性化についても検討して、直鎖アルカンを反応させると、末端位選択的なC-H結合活性化が進行して、高選択的にイリジウムアルキル錯体が生成するという知見を得た。この結果はより不活性なアルカンの変換反応の開発に展開できるものと期待される。
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Research Products
(5 results)