2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型反応を指向する新規分子内配位型不斉触媒・試薬の設計と合成
Project/Area Number |
20750074
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 修一 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (20335087)
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Keywords | 有機合成化学 / 生理活性物質 / 環境調和型反応 / 有機化学 / 不斉触媒 |
Research Abstract |
光学活性化合物の効率的合成法の確立は、21世紀のライフサイエンスを向上させる点から最重要課題である。しかしながら,現況の不斉合成技術において高効率的といえる技術は限られている。そこで,不斉触媒または反応試薬にこれまでに申請者が開発してきたヘテロアリールスルホニル基を組み込むことにより,多機能性不斉触媒,多機能性試薬の開発を検討した。実際に、ヘテロアリールスルホニル基を有する不斉有機触媒を設計・合成し、これまでに高い不斉収率の得られる報告例がないイサチン類へのケトン類のアルドール反応を検討した所、高収率・高エナンチオ選択的に反応が進行することが明らかとなった。また、この反応を利用して、ヒト急性骨髄性白血病細胞HL-60に作用するコンボルタマイジンAの高エナンチオ選択的合成にも成功した。またこの反応は、求核剤と求電子剤が双方ともケトンとなる反応であるが、これまでの報告例では、この種の反応は高エナンチオ選択性を得るためには最低でも10mol%ほどの触媒量を必要であった。しかし、本触媒では、0.5mol%でも高エナンチオ選択性を維持することが明らかとなり、通常の不斉有機触媒よりも反応速度の向上も図れた。すなわち、研究実施計画にあった触媒量の低減・合成反応の高速化には、一定レベルの成果が上げられたといえる。また、反応機構を詳細に検討することによって、分子内のヘテロアリール基が高次の水素結合ネットワーク構築に重要な役割を果たしているとこが明らかとなった。
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