2008 Fiscal Year Annual Research Report
官能基化した三次元的疎水性反応場を有する亜鉛触媒の開発と環境調和型反応への応用
Project/Area Number |
20750081
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 正典 Tokyo University of Science, 薬学部, 助教 (80453835)
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Keywords | アルドール反応 / 亜鉛触媒 / 環境調和型反応 / 疎水性空間 / 酵素模倣触媒 |
Research Abstract |
環境調和型有機合成反応の開発を指向し、水中での分子間相互作用による官能基化した三次元的反応場構築法を展開し、安価で、生命に対して重要である亜鉛金属イオンを用いた触媒反応の開発を本研究目的とする。生体内酵素は、水中での分子間相互作用を利用して触媒の形を形成し、高立体選択的、高収率、高い触媒回転数で反応を行う。これに習い、水溶液中での分子間相互作用を利用した新規反応場の構築法を確立する。 そこで、これまでに亜鉛酵素のよいモデルとして報告してきたZn^<2+>-cyclen(cyclen=1, 4, 7, 10-tetraazacyclododecane)を基本骨格とし、側鎖としてプロリンやバリンなどのアミノ酸を導入した触媒を設計、合成した。そして、水溶液中における触媒活性を評価したところ、最高89%eeのエナンチオ選択性でアルドール反応が進行することがわかった。この反応の中間体は、予想されたエナミン中間体ではなく、亜鉛-エノラートであることを明らかにすることができた(UV吸収スペクトルから)。このことが、この研究においては意義深い。 また、官能基化した三次元的反応場構築の別の方法として、ペプチドを側鎖として導入した配位子の合成を行っている。1, 4, 7, 10-tetraazacyclododecane(cyclen)を出発原料とし、Boc基によって2つの窒素原子の保護を行った。さらに、2-(プロモメチル)ニトロベンゼンと反応させ、水素還元によってジアミン体を得た。今後は、この2つのアミノ基にアミノ酸の導入を行って、配位子の合成を行っていく予定である。このとき、アルドール反応を円滑に進行させるエナミン形成のため、アミノ酸鎖にリシンを用いることでアミノ基を導入する。
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