2010 Fiscal Year Annual Research Report
官能基化した三次元的疎水性反応場を有する亜鉛触媒の開発と環境調和型反応への応用
Project/Area Number |
20750081
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 正典 東京理科大学, 薬学部, 助教 (80453835)
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Keywords | アルドール反応 / 亜鉛触媒 / 環境調和型反応 / 疎水性空間 / 酵素模倣触媒 / 不斉合成 / 希少糖 |
Research Abstract |
環境調和型有機合成反応の開発を指向し、水中での分子間相互作用による官能基化した三次元的反応場構築法を展開し、安価で、生命に対して重要である亜鉛金属イオンを用いた触媒反応の開発を本研究目的としている。生体内酵素は、水中での分子間相互作用を利用して触媒の形を形成し、高立体選択的、高収率、高い触媒回転数で反応を行う。これに習い、Zn^<2+>-cyclen(cyclen=1,4,7,10-tetraazacyclododecane)を基本骨格とし、側鎖としてプロリンやバリン、フェニルアラニンなどのアミノ酸を導入した触媒を設計、合成してきた。フェニルアラニンを有する触媒のアルドール反応において、より高い選択性の発現がみられたため、この触媒を用いて糖類の不斉合成反応への応用を検討した。この糖類の不斉構成反応では、1,3-ジヒドロキシアセトンとD-グリセルアルデヒドを反応基質とし、入手困難な希少糖として知られるD-プシコースやD-タガトースが得られる。D-プシコースは、次のような三つの生理活性が報告されている。(1)ラットの膵臓β細胞(インシュリンを分泌する細胞株)からのインシュリン分泌を促進することから、インシュリン依存性の糖尿病治療の可能性、(2)腸管からの糖(D-グルコース)の吸収を抑制する効果があり、ラットにおける血糖降下作用、(3)血中の脂質を低下させ、動脈硬化を防止する、である。したがって、このような希少糖の合成反応の開発は、希少糖の医薬品および機能性食品としての応用展開に大きく貢献できたものと考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Catalytic Asymmetric Aldol Reactions and Mechanistic Studies Using Chiral Zinc Complexes2010
Author(s)
Itakura, Toshinari., Itoh, Susumu., Ikegami, Masamichi., Tsukamoto, Sei-ichi., Kitamura, Masanori., Aoki, Shin.
Organizer
PacifiChem2010
Place of Presentation
Hawaii Convention Center
Year and Date
2010-12-17