2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドナーアクセプター型共役高分子の「クリック」合成と機能開拓
Project/Area Number |
20750084
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
道信 剛志 Tokyo Institute of Technology, グローバルエッジ研究院, テニュア・トラック助教 (80421410)
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Keywords | クリックケミストリー / 共役高分子 / 高分子反応 / 電気化学 / 電荷移動吸収 |
Research Abstract |
電子豊富なアルキンと強力アクセプター分子であるテトラシアノエチレン(TCNE)の[2+2]付加環化反応を利用して、ドナーアクセプター型共役高分子のアトムエコノミカル合成手法を開拓する。電子豊富アルキンとして芳香族アミンが置換したアルキンを採用した。まず、電子豊富アルキンを含む芳香族アミンをモノマーとし、Pd/P触媒を用いて重縮合して前駆体高分子を得た。続くTCNEとの反応を室温で実施し、目的とするドナーアクセプター型共役高分子へと導いた。構造はNMR、IR、元素分析などより確認した。前駆体高分子で確認されたアルキン伸縮振動は、TCNE付加後には完全に消失し、代わりにシアノ基由来の伸縮振動が現れた。MALDI-TOF MSでは、目的とする絶対分子量が明確に観測され、ピーク間隔の拡大よりTCNEの定量的付加を確認した。より詳細に反応を追跡するために紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、TCNE付加と共に可視領域に新たな電荷移動吸収が現れた。等吸収点を通るスペクトル変化は、副反応無く反応進行していることを示している。TCNE付加体高分子をジクロロメタン中で電気化学測定してところ、前駆体高分子で観測されなかった還元波が観測され、LUMO準位の大幅な低下が実証された。また、酸化波も高電位側にシフトしていたことより、HOMO準位の低下も示唆された。熱分析したところ、TCNE付加体高分子ではガラス転移点および分解温度が上昇していることが分かった。これは、極性シアノ基間の双極子相互作用が協同的に働いているためだと考えられる。
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