2010 Fiscal Year Annual Research Report
グラフトフロム法による高密度環状グラフト共重合体の創製
Project/Area Number |
20750086
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
足立 馨 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (40401533)
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Keywords | 高分子合成 / ナノ材料 / トポロジー |
Research Abstract |
次世代の科学技術を支えるボトムアップ型ナノテクノロジーを目指したグラフトフロム法による環状グラフト共重合体の合成において、環状グラフト共重合体の合成を行い、原子間力顕微鏡による一分子観察を行った。環状グラフト共重合体は、繰り返し単位にトリル基を持つ環病ポリp-メチルスチレンのメチル基を選択的にリチオ化し、続くモノマーの重合を行うことで、環状マクロイニシエーターからのグラフトフロム法により合成した。具体的には、ナトリウムナフタレンを開始剤に用いたp-メチルスチレンのアニオン重合の停止剤に、5-プロモ-1-ペンテンを用いて、両末端に二重結合を有するテレケリックポリp-メチルスチレンを合成し、続いて得られた高分子をジクロロメタン中高希釈条件下で閉環メタセシス反応を行い、効率的に環状ポリP-メチルスチレンを得た。得られた環状高分子にs-ブチルリチウムおよびテトラメチルエチレンジアミンを加えてペンダントトリル基のリチオ化を行い、環状ポリアニオンとした。ここにスチレンモノマーを加え、リビングアニオン重合を行い、グラフトフロム法による環状グラフト高分子の合成に成功した。光散乱法による絶対分子量測定結果より、約50%のトリル基からのグラフト化が確認され、比較的高密度の分岐構造が得られたことが明らかになった。得られた環状グラフト共重合体をマイカ基板にキャストし、原子間力顕微鏡による一分子観察を行ったところ、サイズの揃った、環状グラフト共重合体に基づくドーナツ状分子が確認されたことから、高い分岐密度による、安定した環状構造が達成されたことが示唆された。以上の結果より、本手法によるグラフトフロム型の高密度環状グラフト共重合体の合成法を確立した。
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