2009 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存全反射赤外分光法によるNafionの水和構造に関する研究
Project/Area Number |
20750089
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森田 成昭 Nagoya University, エコトピア科学研究所, 助教 (20388739)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / Nafion / 水和構造 / 赤外分光法 / 全反射赤外分光法 / 電位依存 |
Research Abstract |
フーリエ変換型赤外分光装置(FT-IR)と反射光学系を用いて,固体高分子形燃料電池(PEFC)の高分子電解質膜(PEM)に用いられているNafionの全反射赤外(ATR-IR)スペクトルを測定することに成功した.乾燥Nafionが含水する過程を時間分解測定することによって,Nafionの側鎖末端スルホン酸基に水和する水分子が徐々にクラスター構造を形成することがわかった.また,Nafionの温度依存赤外スペクトルを測定し,得られたスペクトルを摂動相関二次元相関分光(PCMW2D)法により解析したところ,100℃以上において,側鎖末端スルホン酸基に水和した水分子が完全に脱離し,それに伴い,遊離プロトンがスルホン酸基にSOHとして結合することがわかった.さらに,含水Nafionに電位を与えることで,水由来のO-H伸縮振動バンドの形状変化がみられ,電位変化に伴うNafionの水和構造変化が示唆された.本研究により,PEFCのPEMに用いられているNafionの含水状態や温度が,実際にPEFCを運転する際に与える影響を議論することに成功した.今後,これらの知見が,新規PEMの開発やPEFCの改良に繋がることが期待される.
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