2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体膜表面におけるミクロドメインの配向挙動の実空間観察
Project/Area Number |
20750090
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川口 大輔 Nagoya University, 工学研究科, 講師 (70362267)
|
Keywords | 高分子 / 表面 / ダイナミクス / ブロック共重合体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、表面に両成分ともに析出するジブロック共重合体膜を調製し、その膜表面と平行方向に電場を印加することで、面内にランダム配向したミクロドメインが電場方向に再配向する過程を明らかにすることにある。昨年度までに、ポリ(4-tert-ブチルスチレン)(B)とポリ(4-tert-ブトキシスチレン)(O)の共重合体をリビングアニオン重合法により合成し、BO膜の表面にはBおよびO成分ともに析出しており、表面近傍ではラメラ構造が膜面に対して垂直方向に配向することを明らかにしている。今年度は、ガラス転移温度以上の温度で電場を印可し、ミクロ相分離構造の再配向過程を原子間力顕微鏡観察に基づき評価した。電場を印可する前には膜面に対して垂直配向したラメラ構造が観察されたが、印可後にはラメラ構造が膜面に対して平行方向に配向した。これは、膜面に対して平行方向に配向することにより、電場印可時の系の静電気エネルギーが減少するためと思われる。したがって、面内方向のドメイン再配向過程は十分に検討できなかった。 次に、BO薄膜表面におけるミクロ相分離構造の膜厚依存性を走査電子顕微鏡観察により評価した。用いた試料の膜厚が十分大きなバルク試料では、76nmのドメイン間隔のラメラ構造を形成することを小角散乱および透過電子顕微鏡観察により確認した。膜厚が120nm以上のBO膜表面では、ラメラ構造が膜面に対して垂直方向に配向していた。膜厚が98nmの場合には、B成分が球状ドメインを形成し、O成分が連続相に転移した。膜厚が81nmになると、膜厚が98nmの場合と対照的に、O成分が球状ドメインを形成し、B成分が連続相に変化した。現在、この薄膜化による特異な構造変化の原因について検討を進めている。
|
Research Products
(9 results)