2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750093
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高島 義徳 Osaka University, 理学研究科, 助教 (40379277)
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Keywords | 超分子科学 / 超分子ポリマー / 超分子触媒 / シクロデキストリン / ポリロタキサン / 構造制御 / 超分子構造解析 |
Research Abstract |
近年、エネルギー問題の解決、さらに環境適合型社会の実現のためには高活性で選択的・特異的な触媒の設計は重要な課題である。生体系に見られる酵素は人工系にはみられない低エネルギーでかつ、高選択的に機能を有する触媒であり、酵素様の触媒機能を示すCDは有望な重合触媒と考えられる。 これまでに我々は無溶媒下にてシクロデキストリン(CD)を用いて環状エステルの開環重合に成功している(J.Am.Chem.Soc. 2004)。本研究課題においては予備研究の結果を元に、触媒としてのCDに注目し、初年度に進めた光外部刺激による超分子構造体の構造制御に連動する触媒系の構築に取り組み、本年度のその成果をまとめ、論文発表に至った。(Org. Biomol. Chem.)また昨年度、CD球状分子の合成に取り組み、表面に密に修飾されたCD球状分子の合成を行った。合成したCD球状分子は表面にCDを有しているため、ラクトンに対する重合活性を示し、表面にポリエステルが修飾された球状分子の合成に成功した。(J.Org.Chem.)これまでの結果より、より高分子量のポリエステルを作成するためにはこのポリマー鎖をCDにて包接させ、ポリロタキサンを形成させることが重要と考えられたため、CD dimerを用いてラクトンの重合を試みた。その結果、CD dimerの架橋部分の長さに応じて重合活性が変化し、0.7-0.9nmの長さのときに極大を示した。さらにCDの種類に応じて重合活性も変化し、β-CDとγ-CDの組み合わせにおいて、最も高い重合活性を示した。これらCD Dimerを用いた重合においては一方のβ-CDがラクトンの開環反応を行い、もう一方のCDはポリマー鎖を包接し、ロタキサンを形成していると考えられた。このロタキサン形成により重合活性場となるβ-CD周辺の反応場が確保され、単量体のCDを用いた時よりも飛躍的に重合活性が向上することが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)