2008 Fiscal Year Annual Research Report
リボ核酸を利用した界面活性剤自己組織体の形態制御と機能化
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20750102
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
太田 明雄 Kanazawa University, 物質化学系, 准教授 (10324104)
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Keywords | 膜 / 組織体 / 界面活性剤 / RNA |
Research Abstract |
RNAと界面活性剤から形成される複合体の形態制御を目的とし, 種々の検討を行った。 第一に界面活性剤がRNAと結合することで2分子膜の形成を目指し, グルタミンを骨格としたカチオン界面活性剤の合成を検討した。しかしながらDCCを縮合剤とした従来の方法では, 溶媒の選択が限られ収率を上げることができなかった。次年度からは水系でも利用可能なトリアジン型縮合剤を利用する方法を応用し, 効率のよい合成方法を確立したい。 第二には, 市販の汎用カチオン界面活性剤をもちいて, tRNAとの複合体形成挙動を系統的に検討した。まず鎖長の異なる四級アンモニウム塩型界面活性剤を用いて, 吸光度や電気泳動から臨界会合濃度の決定を行ったところ, その臨界会合濃度の対数と界面活性剤の鎖長の間には直線関係が存在することがわかり, 複合体形成に際し界面活性剤の疎水性相互作用が需要であることが確認できた。更に鎖長の長い界面活性剤系では, 一旦沈降した複合体が, 更に界面活性剤濃度を上げることで再分散する挙動を明らかにした。この挙動は炭化水素鎖が14以上の界面活性剤でのみ確認できた。この挙動はRNA上に界面活性剤が2分子膜を形成することで起こっているものと推測される。次に連結鎖を還元剤で切断することで, 臨界会合濃度を大きく変化させることができるジェミニ型界面活性剤を利用して, 同じ挙動を検討したところ, その連結鎖を切断によって, 複合体からRNAを遊離させることに成功した。 現在, 上述した新規カチオン界面活性剤の合成を行うとともに, 市販のアミンオキシド型界面活性剤を利用した検討を行っている。今回複合体形成を検討した単純なカチオン界面活性剤では, 明確な複合体形態を有していない。前者の界面活性剤では2分子膜ベシクル様形態を持った複合体の形成を, 後者ではpHの変化による複合体の解離会合の制御を達成したい。
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