2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素豊富な共役環状化合物による超分子集合の構築とカーボンナノ構造への変換
Project/Area Number |
20750108
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久木 一朗 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (90419466)
|
Keywords | 結晶工学 / 共役パイ電子系 / アヌレン / 超分子化学 / 自己組織化 / ゲル / カーボンナノ構造 |
Research Abstract |
本研究の全体目標は「非共有結合性の分子間相互作用によって自己組織化させた炭素含有率の高い有機化合物(DBA)の集合体を、外部刺激によりカーボンナノ構造へと変換し、微細な機能性材料へと応用すること」である。昨年度得られた結果を踏まえ本年度は、特にカーボンナノ構造の前駆体について(1)DBAに導入する置換基がDBAコアの超構造にどのような影響を及ぼすか、(2)DBAの集合体の物性がいかに超構造に依存するかの2点を重点的に研究し、以下のような研究成果を得た。 メチルエステル基をsyn位に2つもつブーメラン型のオクタデヒドロジベンゾ[12]アヌレン(D12DBA)が、有機溶媒をゲル化する高い能力をもつことを見出した。ゲル中で、D12DBAが一方向に排他的に集積した繊維状超構造を与え、さらにこの超構造の形成にはメチルエステル基のコンフォメーションが重要であることを明らかとした。通常の低分子ゲル化剤は、パイ共役コアに長鎖アルキル基や水素結合供与基などを導入することによって機能するが、本系のD12DBAは、ただ2つのメチルエステル基のみをもつゲル化剤として極めて特異的である。D12DBAは、高反応性のジインユニットをもつため、本系を用いたナノメートルオーダーのカーボンワイヤーへの変換が期待できる。 また、孤立電子対供与基で置換したC3対称性のDBA(T12DBA)が、分子の対称性を保持したまま結晶化(Symmetry Carry-Over Crystallization)する系を得た。このような結晶化は、結晶構造のデザインにおいて指針を与えるものであり、炭素含有率の高いπ共役分子を用いた、より確実な超分子集合のデザイン・構築が期待できる。
|
Research Products
(7 results)