2009 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素をジカルボニル構造ゲスト分子と認識する新規ホスト分子の創製
Project/Area Number |
20750112
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩澤 哲郎 Ryukoku University, 理工学部, 准教授 (80452655)
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Keywords | 二酸化炭素の分子認識 / ジカルボニル構造 / ジカルボニル分子認識 / 超分子相互作用 / 合成ホスト分子 |
Research Abstract |
本研究では、二酸化炭素分子をジカルボニル構造型ゲスト分子と見立てて、ジカルボニル認識を可能にする新規ホスト分子の合成及び機能の評価等を目指して実験を行った。キャビタンドを基盤骨格とした分子にリン原子を1つ及び2つ導入したホスト分子を用いて二価パラジウム金属との錯化実験を行い、キャビタンド空孔に対する情報収集を行った。その結果、リンとパラジウムの比を様々に変えた実験においてリン原子を1つ導入したホスト分子はただ一つの錯体種を形成していることが強く示唆された。一方、リン原子を2つ導入したホスト分子はリンとパラジウムの比によって異なる錯体種を形成していることが示唆される結果となった。このことは、キャビタンド分子のリン原子間の距離が金属-原子だけを捕捉するほど短くならないことを示唆している。アルキルケイ素鎖を付けたキャビタンド分子ではケイ素に直近のメチレン鎖上プロトンが大きな△δを与えたが、リン原子の位置にルイス酸があれば二酸化炭素分子が捕捉される可能性があることが示唆された。ピレンを基盤としたジカルボニル認識型ホスト分子合成においては、2分子のピレンを1位と6位で結び付けるリンカー分子として、現在迄のところどれが最適かを見つけるには至っていないが、このリンカー部の電子供与型分子の選択が非常に重要であることがわかってきた。これらのことは、ジカルボニル認識を水素結合で活性化するためには分子サイズ等を考慮したテンプレートの選択と合成が重要であること、テンプレート合成はより簡便な合成が出来るものを選択すべきであること、水素結合よりもカルボニル酸素と明白に結合形成を行う元素の選択が重要であること、の3点を示唆していると考える。
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