2009 Fiscal Year Annual Research Report
光合成に学ぶ電子伝達素子複合型水分解システムの構築
Project/Area Number |
20750113
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
齊藤 健二 Tokyo University of Science, 理学部, 助教 (60397669)
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Keywords | 光触媒 / 金属錯体 / Zスキーム水分解 |
Research Abstract |
Zスキーム水分解は,犠牲試薬存在下で水素または酸素生成反応に活性を示す光触媒間に電子伝達剤を付与することで,水の全分解が達成できる有用な手法である。しかし,適用できる電子伝達剤の種類はこれまで非常に限られていた。本研究では,天然の光合成で電子伝達機能を司る銅タンパクに注目し,銅錯体を電子伝達剤に用いることを考案した。配位子上に置換基を導入し、銅周りの構造変化に伴って酸化還元電位が変化することを利用し、光触媒(水素生成光触媒としてロジウムドープチタン酸ストロンチウムおよび酸素生成光触媒としてバナジン酸ビスマス)と単一の電子伝達剤間の電子移動におけるドライビングフォース依存性を初めて明らかにした。ビス(2,2'-ビピリジン)銅(II)錯体を用いた場合、中性pH条件下ではこれまでに報告されているZスキーム型水分解反応において比較的高い活性を示した。本Zスキーム型反応を飛躍的に向上させため,電子伝達剤の光触媒上への吸着を促進することも指向し,高比表面積・構造異方性を有するナノ細線状半導体光触媒を独自の手法で精密合成することにも成功した。具体的には,シュウ酸を支持配位子とするニオブ錯体と構造制御剤の組み合わせにより,単純酸化物である五酸化ニオブ,複合酸化物であるニオブ酸ナトリウムやニオブ酸スズ等を合成できた。紫外光もしくは可視光照射下で犠牲試薬を含む水溶液からの水素や酸素生成反応を検討したところ,一般的な合成法である固相法で得られたものよりも高い活性を示した。ニオブ酸ナトリウムを光触媒として用いた場合,ナノ細線状半導体としては初めて水の完全分解を達成した。
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Research Products
(15 results)