2008 Fiscal Year Annual Research Report
メカノクロミック分子集合体の一次元・二次元構造制御
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20750116
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
籔内 一博 Tokyo University of Science, Yamaguchi, 基礎工学部, 助教 (80389155)
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Keywords | メカノクロミック分子 / 自己組織化材料 / ロフィン / グリオキシム錯体 / 液晶 / 静水圧 / 水素結合 / ダイヤモンドアンビルセル |
Research Abstract |
本年度は、応力を利用した分子集合体の動的構造制御に必要な知見を蓄積することを目的として、メカノクロミック分子であるロフィン誘導体と金属グリオキシム錯体を用いて、1次元あるいは2次元的な集積構造の形成が期待される分子の開発と評価に重点をおいて研究を行った。 円盤状の構造を有するロフィン骨格に、長鎖アルキルを有する没食子酸誘導体を導入することで、カラムナー液晶性を示す分子の開発を試みた。ロフィンの3つのフェニル基に没食子酸部位を導入した分子は、偏光顕微鏡観察により、80℃付近で液晶相と考えられるテクスチャーを示した。液晶相の詳細は今後検討していく必要がある。他にも、銀塩との錯形成による液晶性の発現が期待されるピリジン環を含むロフィン類縁体や1,4-ビスイミダゾリルベンゼン誘導体の合成を進めている。 アミド基と長鎖アルキルを有する自己組織性金属グリオキシム錯体については、水素結合部位の有無による集合構造の相違について検討を行った。キャスト薄膜の吸収スペクトル測定から、水素結合部位を有する錯体では、金属間相互作用に由来するd-p遷移による吸収が現れることを見出した。これは、通常、1次元的な集積構造を有する未置換の錯体と同様の傾向であり、本錯体も、1次元的に分子が集積していると考えられる。一方、ドデシルオキシ基を導入した非水素結合性の錯体では、吸収スペクトルでd-p遷移による吸収は見られず、2次元的な秩序構造を有するディスコチックラメラ液晶相を示すことが報告されている。両者の化合物のXRDパターンにも違いが見られた。これらの結果は、グリオキシム錯体の集積構造の制御を目指す上で、有益な分子設計指針を与えるものと考えている。
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Research Products
(8 results)