2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミセル―ベシクル相転移の光制御を用いたマイクロ領域における試薬のカプセル化
Project/Area Number |
20750117
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
宇田 亮子 Nara National College of Technology, 物質化学工学科, 准教授 (90321463)
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Keywords | 膜・集合体 / 光応答 / ベシクル / ミセル / 相転移 / マラカイトグリーン |
Research Abstract |
ミセルからベシクルへの相転移の光制御とそれに伴う試薬のカプセル化を目指し、光照射によりカチオン性界面活性剤となるマラカイトグリーンと、親水基がかさ高いカチオン性界面活性剤と静電的に相互作用しベシクルの形成が可能なビス(2-エチルヘキシル)コハク酸ナトリウム(AOT)を混合させた系について検討を行った。暗時におけるマラカイトグリーンの環境について、ピレンをプローブ分子として用い蛍光スペクトルを調べた。ピレンとマラカイトグリーンとのエキシプレックスに由来するピークが観察され、マラカイトグリーンはミセル中に存在することが確認された。さらに透過型電子顕微鏡を用いて、光照射後のべシクル形成の確認を行った。10-200nmの球状の像が観察され、ベシクル形成の直接的な証拠が得られた。次に、光照射によって得られたべシクル内に試薬をカプセル化させた。カプセル化の試薬にはグルコースを用いた。光未照射時ではミセルの状態にあるため、グルコースはほとんど内包されなかったが、紫外光を照射した後のサンプルではべシクルが形成されグルコースが内包されることが分かった。また、AOTに対するマラカイトグリーンの割合が増加すると共に、より多くのグルコースが内包されることが分かった。カプセル前のグルコースのうち、ベシクルに取り込まれたグルコース量を保持効率として算出したところ、暗時では保持効率は0.05%以下であるのに対し、光照射後は0.05-0.15%の保持効率が得られた。さらに、光照射により形成されたべシクル内での反応を行わせるために、グルコースオキシダーゼを内包させたべシクルを調整し、微小領域での光による酵素反応の制御を試みた。
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