2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規π共役系多核金属錯体を基盤とした超分子構造の構築
Project/Area Number |
20750118
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
石塚 智也 Institute for Molecular Science, 物質分子科学研究領域, 助教 (20435522)
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Keywords | 構造・機能材料 / 自己組織化 / 磁性 / 超分子化学 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究では、拡張π電子系を組み込んだ新規シフ塩基錯体を合成し、π共役系配位子間のπ-スタックによって分子を一次元上に並べた、新しい集積化多核金属錯体の構築を目指している。サレンなどのシフ塩基配位子は、ほとんど全ての金属と安定な平面錯体を作ることが知られ、中心金属の種類によって、強磁性やスピン転移などの磁気的性質、発光などの光機能性、不斉反応などへの触媒活性を示すことが明らかにされており、本研究で計画しているナノ構造に対しても、これらの性質を効果的に組み込むことが可能である。本計画で目指す一次元構造中では、上下の分子間において金属同士が非常に近接していると考えられることから、金属間に強磁性などの磁気的相互作用が生じることが予想される。また、軸配位子を介した金属-金属間の連結を利用して、一次元構造の強さ、π平面間の距離を制御することにより、導電性などの一次元鎖の電子物性も制御しうると期待している。 本年度は、様々なπ共役分子を中心核に有するサロフェン型の多核平面錯体を合成し、πスタッキングに基づくその超分子集積化挙動を研究した。特にトリフェニレンを中心核に有する三核亜鉛(II)錯体と銅(II)錯体は、デカリンなどの炭化水素溶媒中で、物理ゲルを与えることが示された。また両親媒性を有する2核錯体は、極性溶媒中で特徴的なナノ構造体を与え、そのナノ構造に基づき、興味深い磁気特性。電気伝導特性を示すことを見出した。直線上に三つの金属配位サイトを並べた系では、高い平面性に基づき、一次元上に分子が並んでいる様子を結晶構造解析により明らかにし、その際の分子間の磁気的相互作用を見積もることに成功した。
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