2009 Fiscal Year Annual Research Report
固体上での無溶媒反応を基盤とする高環境調和型不斉合成システムの開発
Project/Area Number |
20750122
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古野 裕史 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 助教 (90335993)
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Keywords | 無溶媒不均一反応 / 自己組織化型錯体触媒 / 希土類金属錯体 / 環境調和型合成 / 再利用可能ルイス酸触媒 |
Research Abstract |
従来の不斉合成において大量に消費される有機溶剤と、高希少性・高毒性を有する金属錯体触媒の使用及び処理の問題を解決する「固体上での無溶媒反応を基盤とする高環境調和型不斉合成システム」の開発を目指し、(1)多方向性キラル配位子と金属イオンを混合するだけで自己組織化によって調製されるキラルな高分子金属錯体触媒の創製と無溶媒反応の不斉触媒としての利用、及び(2)不溶性有機ポリマーを従来の有機溶媒の代替反応媒体として用いる新しいタイプの不斉反応の開発の両面から研究をおこなった。 (1)に関しては、光学純品の1,1'-ビ-2-ナフトール(BINOL)の6位及び6,6'位にスルホ基を導入した新規キラルスルホン酸を二方向性、及び三方向性のキラル配位子とし、これらとスカンジウムイソプロポキシドとをTHF/メタノール混合溶媒中で混合することで対応する錯体を合成した。これらの錯体は多くの有機溶媒に不溶であり、また元素分析の結果、スカンジウムとキラル配位子が想定される比で構成されていることが示唆された。本錯体をアミンによるエポキシドの不斉開環反応のルイス酸触媒として用いたところ、エナンチオ選択性は不十分なものの、無溶媒条件において定量的に目的の開環体を与えることがわかった。また(2)については、溶媒中の均一系反応で良い結果を与えているイッテルビウムービナフチルリン酸錯体触媒を有機ポリマー上に分散させ、無溶媒条件でのヘテロDiels-Alder反応をおこなうことで本システムの有用性を検討した。有機ポリマーを種々検討したところ、耐溶媒性に優れたポリ(テトラフルオロエチレン)を用いた系が良い結果を与え、高いエナンチオ選択性は発現しなかったものの、同触媒をもちいた溶媒中での均一系反応よりも高収率で目的の付加体を与えることがわかった。
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