2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750125
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 敏高 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 講師 (90323120)
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Keywords | ヘム代謝 / 反応機構 / 酸素活性化 / ベルドヘム |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)はヘム分解を触媒する酵素であり、様々な生理機能を有している。最近申請者は、生理的に可能な条件下で従来とは全く異なるHO反応が進行し、新たなヘム代謝産物が生成することを発見した。この新規HO反応は酵素化学的に興味深いだけでなく、生理的にも非常に重要な意味を持つと考えられる。本年度は、主に新規ヘム代謝反応のメカニズムの解明を進め、また、生体内検出の第一歩として、培養細胞からヘム代謝産物を直接検出するシステムの構築を行った。 まず、通常のヘム代謝反応の機構解明を目指し、ベルドヘム-HO複合体のアルキル過酸化物との反応解析を行ったところ、Fe-OOH型を活性種とする機構が提案された。この機構はベルドヘム複合体の結晶構造解析からも支持され、活性中心の水分子が重要な役割を果たすことが示された。一方、新規ヘム代謝反応はレドックスを伴わない機構で進行することを明らかにし、酵素の触媒活性・酸素濃度依存性に大きな影響を持つことを示した。また、HOの2つのアイソフォーム(HO-1, HO-2)では濃度依存性が異なるものの、基本的なメカニズムは同じであることが分かった さらに、各種動物細胞株をヘム存在下で培養し、ヘム代謝産物の直接検出を試みた。単球様細胞(U937)ではビリルビン量が極端に少なく、酸化型であるビリベルジンが検出される例もあった。そこで、ビリベルジン還元酵素の高いとされるマクロファージ(HeLa, Raw264.7)での反応を検討したところ、高濃度のビリルビンが検出された。今後、これらの細胞反応系を用いて、新規ヘム代謝産物の検出を目指す。
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