2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750125
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 敏高 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 講師 (90323120)
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Keywords | ヘム代謝 / 反応機構 / 酸素活性化 / ベルドヘム |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)はヘム分解を触媒する酵素であり、様々な生理機能を有している。最近申請者は、生理的に可能な条件下で従来とは全く異なるHO反応が進行し、新たなヘム代謝産物が生成することを発見した。この新規HO反応は酵素化学的に興味深いだけでなく、生理的にも非常に重要な意味を持つと考えられる。本年度は、主に新規ヘム代謝反応のメカニズムの解明を進め、また、培養細胞からの新規ヘム代謝産物の直接検出を試みた。 まず、通常のヘム代謝反応の機構解明を目指し、ベルドヘム-HO複合体と過酸化水素との反応生成物についてMossbauer分光測定を行ったところ、Fe(IV)錯体の生成が明瞭に確認された。さらに、独自に決定したベルドヘム複合体の結晶構造を基に理論計算を行ったところ、O-O結合の開裂の後、OH基が水分子の助けによってα-ピロール位に付加する機構が、エネルギー的に妥当であることが示された。以上の結果は、申請者が従来から提案してきた機構を強く支持している。 また、新規ヘム代謝反応のメカニズムについても検討し、酸素濃度依存的に生成物が変化する機構を明らかにした。さらに、各種動物細胞株をヘム存在下で培養し、新規ヘム代謝産物の直接検出を試みた。様々な細胞株・反応条件を検討したところ、大量の細胞数を用いて、反応時間を短くし(1~4時間)、血清非添加培地で反応を行った際に、新規生成物が明瞭に検出された。この結果は、新規ヘム代謝反応が生体内でも反応しうることを示す初めての結果である。今後、その特性を詳細に検討することにより、新反応が持つ生理的意義を明らかにできると期待される。
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