2008 Fiscal Year Annual Research Report
H-ボラノホスホン酸誘導体を用いる含ホウ素新規核酸類縁体の創製
Project/Area Number |
20750127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 夏央 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (50401229)
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Keywords | 核酸 / ホウ素 / ホスホン酸 / DNA / ヌクレオシド / 核酸類縁体 / ボラノホスホン酸 / 次亜リン酸 |
Research Abstract |
本年度は、ヌクレオシドモノリン酸の新規類縁体であるヌクレオシドH-ボラノホスホン酸モノエステル、及びH-ボラノホスホン酸ジエステル結合を有するDNA二量体の合成と単離を行い、この新しい含ホウ素核酸類縁体の化学的性質に関する検討を行った。まず、適切な保護基を導入したヌクレオシドと、研究代表者が世界で初めて合成に成功した無機H-ボラノホスホン酸との間の縮合反応について詳細に検討を行い、90%以上の収率で目的とするヌクレオシドH-ボラノホスホン酸モノエステルを与える条件を見出した。また、得られた目的物の化学的安定性について詳細に検討を行い、このヌクレオシドH-ボラノホスホン酸モノエステルが酸性条件下不安定である一方、塩基性条件下では極めて安定な化合物であることを見出した。この性質を利用して、塩基性条件下全ての保護基を除去し、完全に脱保護されたヌクレオシドH-ボラノホスホン酸モノエステルの合成に世界で初めて成功した。更に、この化合物がこれまでに報告された次亜リン酸誘導体の中で特異的に安定であり、水中でも安定に存在することを見出した。次に、H-ボラノホスホン酸ジエステル結合を有するDNA二量体の合成について検討を行った。目的とするジエステルは比較的不安定な化合物であり、特に酸化的条件下リン原子の酸化に起因する分解を起こすことが分かった。しかしながら、合成と単離精製条件の検討の結果、純粋な形での単離に成功した。得られた二量体は、そのP-H結合の活性化と修飾反応を経て、これまでに無い含ホウ素核酸類縁体へと変換できることが期待される。そこで、種々の活性化条件を検討したところ、穏和な無水塩基性条件下P-H結合は活性化され、硫黄原子などの導入が可能であることを見出した。
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