2009 Fiscal Year Annual Research Report
グアニン四重鎖構造を認識する核酸結合タンパク質の解析
Project/Area Number |
20750130
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大吉 崇文 Shizuoka University, 理学部, 助教 (80406529)
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Keywords | 核酸化学 / 生物化学 / 核酸結合タンパク / グアニン四重鎖 |
Research Abstract |
染色体の末端配列はテロメアと呼ばれている領域であり、ガンなどの病気や寿命を深く関わっているため、多くの研究がなされている。このテロメア配列はグアニン塩基が多く、試験管内でグアニン四重鎖構造を形成することが明らかになっている。一方、DNAは生体内においてタンパク質と結合して機能しているが、グアニン四重鎖構造を特異的に認識して機能するタンパク質の研究が進んでいないため、生体内におけるグアニン四重鎖構造の機能は不明な点が多い。そこで本課題では、グアニン四重鎖構造を特異的に認識するタンパク質の認識機構と機能の解明を目的とした。 今回特に注目したタンパク質はアルギニンーグリシンーグリシン(RGG)配列の富む領域を有するタンパク質であり、ガン化に関係する核酸結合性タンパク質であるEWS(Ewing's sarcoma)である。そこでRGG領域と1本鎖DNA、2本鎖DNA、グアニン四重鎖DNAとの結合性をゲルシフトアッセイにより調べた。その結果、グアニン四重鎖DNA特異的に結合することが明らかとなった。更にその結合は、アルギニンにより水素結合により形成されることがわかった。また結合したグアニン四重鎖構造は安定であった。これらの結果はテロメアとガン化との関係をより明らかにする結果であり、グアニン四重鎖構造がガンなどの病気に関与していることを示唆している。グアニン四重鎖結合タンパク質の結合性を調べることでグアニン四重鎖とガン化との関わりが明らかになったので、今後テロメアを標的とした抗がん剤の開発などにも重要な知見であると考えられる。
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Research Products
(10 results)