2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA中メチル化変異を検出する光機能性人工核酸の開発
Project/Area Number |
20750134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田邊 一仁 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (40346086)
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Keywords | メチル化シトシン / DNA / 光反応 / 脱プロトン化 / 鎖切断 |
Research Abstract |
申請者は、DNA中メチル化シトシンの簡便検出法の開発を目的として、光反応を用いたメチル化シトシン選択的な鎖切断システムの構築を試みている。これまでに、ナフトキノン誘導体を光増感剤として使用すると、DNA中のメチル化シトシン部が酸化されることを見出し、当該部分で選択的な鎖切断が起こることを明らかにしている。 今年度、反応の詳細を調べたところ、メチル化シトシン塩基の光酸化に伴い、ホルミルシトシン誘導体が生成していることがわかった。続いて、反応メカニズムを考察したところ、一電子酸化反応に続く脱プロトン化とメチルラジカル生成が本酸化反応には関与していることが示唆された。 これら反応メカニズムを検証するため、以下の実験を行った。種々のpH条件で反応を行い、反応速度を算出した。その結果、pH5.5の際の反応速度は1.55×10-9Ms-1となり、弱酸性条件でもっとも反応効率が高いことがわかった。また、脱プロトン化が構造上不可能なジメチルシトシンを合成し、同じく光酸化反応を行ったところ、酸化反応は著しく効率が低下した。これらのことから、脱プロトン化反応が重要な鍵反応であることが示唆された。次に、メチルラジカルを別途生成する前駆体(allyl radical precursor)として、5位にPhSe基をもつメチルシトシン誘導体(PhSe-C)を合成した。PhSe-Cに光照射(ラジカル生成反応)を行い、ホルミルシトシン形成を期待したが、反応は複雑となった。残念ながら、光酸化反応におけるラジカル生成は確認できなかった。
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