Research Abstract |
ポルフィリンを基本骨格とする新規金表面保護配位子(PCISAc)を用いることによって, DMF溶液中, 塩化金酸のワンポット還元により, 安定な金ナノ粒子, および, 金ナノクラスターを得ることが可能であることを見出した. PCISAcはポルフィリン平面に対して垂直同一方向に4つの硫黄原子を有しており, 金表面と強固に相互作用可能であると考えられる. 実際, XPS測定によってPCISAcの全ての硫黄原子が金表面と相互作用していることが明らかとなった. そのため, 全ての保護配位子はポルフィリン平面と金ナノ粒子表面がface-to-faceで配置するという特殊な構造が推定される. また, 得られる金ナノクラスターの粒子径は塩化金酸と保護配位子の仕込みに大きく依存し, 反応条件の最適化により, 粒子径が最小2.0nmの金ナノクラスターを得ることに成功した. これらの結果は, Junya Ohyama, Yutaka Hitomi, et al. "One-phase synthesis of small goId nanoparticles coated by a horizontal porphyrin monolayer" Chemical Communications, 2008, 6300-6302. に報告した. また, ポルフィリンと硫黄原子とを繋ぐリンカーの長さを長くした金表面保護配位子(PC2SAc)を合成し, より小さな金ナノ粒子,金ナノクラスターの合成も試みた. しかし, リンカー長の長さが粒子径に与える影響はほとんど見られなかった. そこで, 還元剤投入直後に生成すると考えられる小さな金ナノクラスターを高効率でトラップするために, PC2SAcの末端に存在したアセチル保護基を脱保護し, 二つのジスルフィド基を同一方向に有する保護配位子(PC2SS)を合成し, 仕込み比に依存せず小さな金ナノクラスターを得ることに成功した.
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