2008 Fiscal Year Annual Research Report
3β‐HSD欠損症に特有な多重抱合型胆汁酸異常代謝物の構造決定と臨床診断法の確立
Project/Area Number |
20750141
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
柿山 玄太 Nihon University, 文理学部, 助手 (70453868)
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Keywords | 先天性胆汁酸代謝異常症 / 3β-HSD欠損症 / ニーマン・ピック病C1型 / 異常胆汁酸多重抱合体 / LC-MS / 内部標準物質 / ジオキシラン / 遠隔酸化反応 |
Research Abstract |
先ず、患者尿の予備的LC-MS分析の結果から、-連の"異常胆汁酸多重抱合体"は、3β, 7β-dihydroxy-5-cholenoic acidの3-硫酸, 7-Nーアセチルグルコサミン, 24-グリシン(あるいはタウリン)抱合体を基本とし、これに水酸基やオキソ基が付加したもの数種が存在することが予測された。先ず、本化合物群の合成に取り掛かることとした。目的とする多重抱合体はいずれも3β,7β-dihydroxy-Δ^5構造を有し、互いに構造が酷似する。このような代謝物相互の高効率合成には原料ステロイドへの位置、並びに立体選択的な水酸基の導入法の確立がポイントとなるものと考えられた。そこで、同じ3β-hydroxy-Δ^5構造を有するコレステロールを用いて、ジオキシラン類による一段階遠隔水酸化反応法について検討を加えた。その結果、ethyl(trifiuoromethyl)dioxiraneを反応系中でin siru発生させると、最も簡便かつ高効率にコレスタン側鎖のC-25位を直接酸化できることを見出した。さらに、得られた25-ヒドロキシコレステロールから、種々の生体内オキシステロール類(24-ヒドロキシコレステロール, 24-オキソコレステロール等)へ短段階で導くルートも併せて開拓した。ここで得られた知見を基に、次いで33-hydroxy-Δ^5胆汁酸を原料として一連の胆汁酸多重抱合体の標品合成を行なった。また、LC-ESI/MS法で生体試料中の微量物質を高精度に定量するには、適切な内部標準化合物(IS)が必須となる。そこで、IS候補化合物数種を分子設計して化学合成を行ない、これを用いてELSD-HPLCによる目的多重抱合体のプレリミナリーな分析条件を検討した。その結果、3β-sulfooxy-7β-hydroxy-24-nor-5β-cholanoic acidをISとして用いるとき至適分析条件が確立できることが判明した。現在、LC-ESI/MSにて分析メソッドのバリデーションを行うと共に、生体試料から標的多重抱合体の効率的な抽出条件にも検討を加えている最中である。
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Research Products
(11 results)