2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルブミンープロトヘム複合体の部位特異的分子変換による安定酸素錯体の創製
Project/Area Number |
20750142
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中川 晶人 Waseda University, 理工学術院, 講師 (20348858)
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Keywords | ヘムタンパク質 / アルブミン / ヘム / 人工酸素運搬体 / ポルフィリン / 酸素錯体 |
Research Abstract |
Leu-185にHisを変異導入したヒト血清アルブミン(rHSA)と鉄プロトポルフィリンlX(ヘム)の複合体(rHSA-heme)は、ヘモグロビンと同じように酸素を吸脱着できる合成ヘムタンパク質であり、人工酸素運搬体としての医療利用が期待できる。我々はその酸素結合能を詳細に検討する過程で、酸素親和性が2成分存在することを明らかにした。これは、ヘムの配向がrHSA内で2種類存在するためであり、低酸素親和性成分は酸素運搬効率を低下させると考えられる。もしヘムポケット入口を狭め、ヘムの配向を制御できれば、酸素親和性が1つになり、安定な酸素錯体が得られると推測される。本研究では、酸素親和性が1成分のrHSA-hemeを得るために、ヘムと塩橋を形成しているHis-146及びLys-190に着目、それらをよりかさ高で強塩基性のArgに置換したrHSA-hemeを合成し、その酸素結合解離過程を検討した。 部位特異的分子変換により、His-146またはLys-190にArgを導入すると、得られたrHSA-hemeの酸素親和性は1つになり、酸素親和度(6〜9Torr)はヒト赤血球の値(8Torr)とほぼ同等となった。Argを導入していないrHSA-hemeの酸素解離速度定数(koff)が0.2, 2.1(ms-1)(2成分)であったのに対し、Argを導入すると、koffは約0.4(ms-1)(1成分)となった。rHSA-heme CO錯体のラマンスペクトルでは、Arg導入によりυ(Fe-CO)が2種類(493,525cm-1)から、1種類(493cm-1)となった。以上の結果から、Argを導入すると、ヘムの配向が1種類に固定され、低酸素親和性成分が消失すると考えられる。このrHSA-hemeは酸素運搬効率のより高い人工酸素運搬体となりうる。
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