2008 Fiscal Year Annual Research Report
オスミウム錯体導入によりメチルシトシンを特異的認識するDNA結合人工蛋白質の創製
Project/Area Number |
20750144
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
野村 章子 The Institute of Physical and Chemical Research, 岡本独立主幹研究ユニット, ユニット研究員 (40443006)
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Keywords | DNA / メチルシトシン / オスミウム / 亜鉛フィンガー |
Research Abstract |
DNAのメチル化は細胞の発生や分化を制御し細胞の癌化にも密接に関連しており、メチル化解析技術の開発は生命現象の解明のみならず疾患の原因解明や医療への応用も期待され、重要性が高い。本研究は、DNA結合蛋白質、特に転写因子亜鉛フィンガー蛋白質に着目し、これにメチルシトシン認識能を導入することにより、遺伝子機能に重要な部位におけるメチルシトシン検出を目指している。 平成20年度は、(1)メチルシトシンとオスミウムとの反応性、および、(2)メチルシトシン認識能を有する亜鉛フィンガーの分子設計について検討を行った。 (1)種々のピリミジン塩基、あるいはメチルシトシン近傍に一塩基ミスマッチを有するDNA配列におけるオスミウム錯体形成の配列依存性について検討した。オスミウム錯体によって酸化されたDNAをピペリジンで処理し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析した結果、隣接する核酸塩基がオスミウム錯体の形成反応に重要な役割を果たしているという新しい知見を見出した。 (2)DNAのメチル化はCpG配列上のシトシンに存在するため、グアニンとシトシンに富んだ配列を認識する亜鉛フィンガー蛋白質を基本骨格として選択した。CpG配列上のシトシンと相互作用するアミノ酸残基をターゲットとし、このアミノ酸残基自身あるいは近傍のアミノ酸残基を中心にメチルシトシン認識能を導入する部位について、分子モデリング計算を行った。また、同時に亜鉛フィンガーのDNA結合能を制御する手法についても検討を行い、光に応答する亜鉛フィンガーの開発に成功した。
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