2008 Fiscal Year Annual Research Report
高効率光電変換のための2分子会合性フタロシアニン色素の構築
Project/Area Number |
20750150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萬関 一広 Osaka University, 先端科学イノベーションセンター, 特任助教 (30379135)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 会合体 / 光電変換 / 近赤外 / フタロシアニン |
Research Abstract |
色素増感型太陽電池の光電変換効率向上には、色素が関わる界面構造や会合体形成を緻密に制御することが重要である。本年度は、高効率光電変換のためのnarrow-band gap近赤外色素の構築を目的として、π-結合の拡張以外のコンセプトに基づく色素分子設計に着目し、光吸収の役割を担う構造創出に向けて、分子間で誘発される自己集合(会合)構造の発現について調べた。耐久性を考慮し、フタロシアニンの誘導体に着目した。 一例として、合成した亜鉛フタロシアニン類は、Q帯が位置する700〜750nm付近の長波長側に、さらに分子間のπ-スタッキング構造に由来すると考えられる吸収帯を示すことが判明した。この会合形成は、酸化チタンへの共吸着剤として使用されるコール酸の存在下で促進することを見いだした。現在、計算化学を導入して、吸収スペクトルのシュミレーション解析から、会合体の帰属を行っている。 また、色素開発のひとつの課題として、電子・正孔キャリアーの電子ポテンシャルを考慮した構造制御が必要である。亜鉛フタロシアニンの発光は、酸化チタン膜上では消光することがわかり、酸化チタンへの電子注入が可能であると示唆された。今後、色素の系統的評価から会合体に関する知見をさらに得るとともに、高効率電子サイクルを実現するための構造因子解明に取り組む。電池セル作製を行い、IPCE(Incident Photon-to-Current Conversion Efficiency)測定を始めとして、電流-電圧(I-V)測定等から、近赤外光に対する感度特性を明らかにする。
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