2009 Fiscal Year Annual Research Report
電解重合法及び前駆体法によるπ共役高分子薄膜の有機トランジスタへの新規展開
Project/Area Number |
20750153
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
安田 剛 National Institute for Materials Science, 環境・エネルギー材料萌芽ラボ, 主任研究員 (30380710)
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Keywords | 有機トランジスタ / 有機半導体 / 導電性高分子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古くからの研究によりπ共役高分子薄膜形成法として確立している2種類の方法、電解重合法及び前駆体法を用い薄膜を作製し、有機電界効果トランジスタ(有機FET)へ応用可能なπ共役高分子を探索することである。上記手法を用いることで、通常の有機合成では溶解性の問題で合成困難なπ共役密度の高い高分子薄膜が得られるという利点があり、これまでに有機FET用材料として使用不可能だった新奇な材料で有機FET特性を提示することが可能であり、新規有機半導体の設計指針として有益な知見が得られる。 平成21年度の主な検討項目としては、以下のとおりである。前駆体法より形成されるポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘導体を用いた有機FETの作製を行い、測定した結果、その移動度は2.2×10^<-5>cm^2/Vsであった。通常の方法で重合したMEH-PPV溶液からのスピンコート膜では4.0×10^<-4>cm^2/Vsの移動度が得られることから、前駆体より形成したPPV誘導体はFET材料として適していないことが分かる。AFM観察により、前駆体より変換したPPV誘導体の膜は体積収縮による直径2-3μm程度の細孔を数多く有していること、また通常の方法で重合したMEH-PPVの吸収スペクトルと比較して前駆体より形成したPPV誘導体は短波長に吸収がある(高分子の共役長が短い)こと、以上2点が移動度の低下につながっていると考えられる。以上の2点は、変換温度の最適化を行っても改善されず、移動度は10^<-5>cm^2/Vs台であった。前駆体より形成するπ共役高分子は、π共役密度の高い薄膜を形成し、高い移動度が得られると期待して研究・開発を行ったが、膜質に問題が残る結果となった。
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