2009 Fiscal Year Annual Research Report
メソポーラス構造を有するマンガン酸化物電極の作製と電気化学キャパシタへの応用
Project/Area Number |
20750155
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野原 愼士 University of Yamanashi, クリーンエネルギー研究センター, 准教授 (40326278)
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Keywords | 電気化学キャパシタ / マンガン酸化物 / メソポーラス構造 / 界面活性剤 / 電析 / 硝酸還元 / テンプレート |
Research Abstract |
今年度に得られた研究成果は以下のようである。 1 マンガン酸化物のメソポーラス構造のより高度な制御(ヘキサゴナル構造の構築など)を目的として、微細構造に及ぼす作製条件のパラメーターの影響について検討した。まず、前年度と同様に硝酸マンガン、カチオン界面活性剤(CTAB)を含む電析浴から硝酸イオンのカソード還元により電析させた場合、電析電位(-0.7~-0.9V vs.Ag/AgCl)、温度(30~50℃)を種々に変化させても、X線回折(XRD)の2θ=2°前後に観測される比較的弱いブロードな回折ピークに大きな変化は見られなかった。次に、電析直後に溶剤による界面活性剤除去を行わず熱処理を行った場合は、秩序だったラメラ構造を示す回折ピークが観測された。界面活性剤の除去方法は構造を決める重要な因子であることが明らかとなった。 2 CTABの代わりにアニオン界面活性剤(SDS)を用いた場合、条件によってヘキサゴナル構造を示唆する比較的明瞭なピークが観測され、アニオン界面活性剤の方がマンガン酸化物の構造制御に効果的であることが示唆された。 3 酢酸マンガンとSDSを含む電析浴を用いて、アノード酸化によるマンガン酸化物の電析について検討した。その結果、2θ=2°付近に非常に明瞭で強度の強いXRDピークが観測され、比較的高度に制御された構造の試料であることが強く示唆された。この試料の透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行うと、秩序だったヘキサゴナル構造ではないものの、3~5nmの細孔と4,5nm程度のマンガン酸化物の壁(あるいはナノワイヤー)からなる比較的秩序だった高比表面積のメソポーラス構造が形成されていることが明らかとなった。 上記のように、マンガン酸化物について界面活性剤をテンプレートとし、比較的秩序だったメソポーラス構造の構築に成功し、いくつかの重要な構造制御の指針が得られた。
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