2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750156
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山口 岳志 Tokyo University of Science, 工学部, 助教 (50408720)
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Keywords | 太陽電池 / 太陽光発電 / 新エネルギー / 光物性 / 再生可能エネルギー / 色素増感太陽電池 / タンデムセル / 高効率化 |
Research Abstract |
色素増感太陽電池(DSC)は安価に作製でき、その光電変換効率も10%程度と比較的高い事から、近年注目されている。DSCの構成材料としては、酸化物半導体電極としてナノ構造TiO_2、レドックス対としてI^-/I_3^-を用いた系が一般的であり、この組み合わせでは0.7V付近の電圧が得られることが広く知られている。しかしながら、可視光域の光子は例えば波長620nmの光子で2.0eVを有しており、これまでの系ではそのエネルギーを十分利用できてはいなかった。本研究ではDSCの高電圧化をめざし、酸化還元準位がヨウ素の+0.2V(vs.SCE以下同じ)よりも0.65Vポジティブにシフトした臭素レドックス対Br^-/Br_3^-を用いて検討を行った。この条件で動作する増感色素の条件として、LUMO準位は電子注入を受ける酸化物半導体として従来と同じTiO_2を用いるため既存の高増感色素と同様の準位で良い事となるが、Br^-から電子を受け取るHOMO準位に関しては、従来の増感色素よりも約0.5V程度ポジティブにシフトした準位が必要となる。 平成20年度は、上記条件にマッチングしたRu錯体増感色素として(dcbpy)_3Ruを見出し、DSCの高電圧化検討を行った。(dcbpy)_3RuのHOMO準位は1.16Vと、臭素レドックス(0.85V)にに対しても0.3vのギャップを有している。本色素ならびに臭素系電解液を用いたDSCでは、従来のTiO_2電極をそのまま用いて作製した場合は0.9v程度の電圧しか得られなかったが、TiO_2電極について粒子径・空孔率・膜厚を制御する事ならびに表面処理を施す事で、TiO_2からの電子の漏れを抑制する事ができた。更に電解液への添加剤による電圧向上についても検討を行い、これらの検討結果として、本年度では開放電圧1.03Vかつ光電変換効率2.5%のDSCを作製する事に成功した。
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Research Products
(1 results)