2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルキンの選択的直鎖状多量化反応によるオリゴエン類の効率的合成法の開発
Project/Area Number |
20750160
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅野 研一郎 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 助教 (20360951)
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Keywords | アルキン / オリゴエン / ジルコニウム / 直鎖状多量化 |
Research Abstract |
本研究では、異なるアルキンをワンポットで直鎖状に連結することで、単一のトリエンおよびテトラエン誘導体のみを高選択的に得ることに成功した。 2種類の異なるアルキンから非対称なジルコナシクロペンタジエンを調製し、これに1.1当量のN-クロロスクシンイミド(NCS)を加え室温で1時間かくはんした後、CuCl存在下第3のアルキンを加えてかくはんすると、3種のアルキンが直鎖状に連結したヘキサトリエン誘導体を良好な収率で得ることができた。ジルコナサイクルを形成するアルキンとして、3-ヘキシン、4-オクチンなどの脂肪族アルキン、ジフェニルアセチレン、ジチエニルアセチレンなどの芳香族アルキンを用いることが可能であった。第3のアルキンとしては、エステルやアシル基など電子求引基を有するアルキンを用いることが必須であった。 反応機構は、2つのアルキンから調製したジルコナサイクルの一方のジルコニウム-炭素結合がNCSによって切断され、残ったジルコニウム-炭素結合が銅へのトランスメタル化後に第3のアルキンに付加することで進行したと推測される。これは、反応をヨウ素、ハロゲン化アリル、酸塩化物などで捕捉すると、それぞれ対応するヨウ化物、アリル化物、およびアシル化物を与えたことからも支持される。さらに、第4のアルキンとしてトシルアセチレンを加えると、更なる付加反応が進行し、対応するテトラエン誘導体を合成することができた。トリエン、およびテトラエン生成物の一部は、X線結晶構造解析からもその構造を確認することができた。
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