2008 Fiscal Year Annual Research Report
キセノンを用いた新規炭素材料の作製法の開発と細孔評価法の創製
Project/Area Number |
20750166
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
後藤 和馬 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (20385975)
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Keywords | キセノン / 炭素材料 / 核磁気共鳴 / ハードカーボン |
Research Abstract |
本研究では、当初の目的として、 (1) Xe NMRを用いた炭素材料の細孔解析法を確立させること、および (2) キセノンを用いた新規炭素材料合成という分野を創り出すこと、の2つを目指したものである。具体的なアプローチとしてアモルファス炭素(ハードカーボン)と新規層状炭素化合物を取り上げて、研究を進めている。 石油系原料や樹脂系原料など、多くの種類の前駆体から作製されたハードカーボンについて実験を行った結果、ハードカーボン前駆体である樹脂をキセノンガス中で焼成することによって、通常の窒素ガス下で作製した標準的なサンプルと比較して比表面積が大きく、表面性が異なる材料ができることが発見された。このようにして作製されたハードカーボンにキセノンを吸着させ、石油ピッチやフェノール樹脂を前駆体とする複数のハードカーボンについてキセノン測定を行うことにより、焼成温度の上昇に伴うハードカーボン内の細孔構造の変化を明らかにした。本実験結果については、現在論文投稿中(K. gotoh, et.al)である。 また、上記のアモルファス炭素のみならず、新規炭素材料においても、研究に顕著な進展がみられている。本研究実施者は、酸化グラファイトと金属錯体を原料として用いることにより、金属ナノ粒子がグラフェン表面に均一に分散した多孔質炭素材料を作製することに成功し、これについて特許を申請、論文がアクセプト(K. gotoh, et.al.Carbon)されている。この炭素は燃料電池の酸素還元触媒特性に優れるなどの特徴が既に発見されており、さらなる触媒特性が見込まれるものとなっている。次年度は、開発されたこの炭素材料や他の炭素材料についてキセノンNMRによる評価を行い、各種炭素材料の表面状態についての研究を進めていくことを予定している。 以上のように、本研究においては、当初の目的を初年度にて大部分達成しただけでなく、産業利用にも期待される新規炭素材料め開発にも成功し、さらなる物性研究を進めている。
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Research Products
(23 results)